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2004.07.11

遮られた響き

人が合唱から遠ざかる理由は様々であろう。
単に時間がとれなくなったり、一緒にやっていく仲間がいなくなったり。
肉体的な問題、というのも確かにあり得るのだが、現実問題として、そのような方を見送ることは、私には初めての経験だった。

大阪センチュリー合唱団は微妙な立場の合唱団である。
大阪府文化振興財団からの助成があり、大阪センチュリー交響楽団と活動を共にする機会があり、団員はアマチュアであり、毎月会費を支払っており、事務局の職員さんには(誠に些少な額だが)給与が支払われている。
半官半民というと幾分異なるニュアンスがあるが、その活動のいくばくかに、火の車となっている大阪府の財政からの金が注ぎ込まれていることには違いない。

で、火の車であるところの大阪府の財政状況から、文化助成金などというものはいとも簡単に削減されることになる。もっと切り捨てるべきものがあるのではないのか、という議論もあるだろうが、大阪府の財政危機は、もうそういうことを言っておれるような状況ではないらしい。

ということで、本年度の助成金は昨年度の3分の2、来年度からは助成打ち切りということだそうである。
入るを図りて出るを制す、を地でいかなくてはならない。

団員総会では、その他の議案も粛々と審議され、新年度の役員(既に投開票済み)が確定する。
前年度、副団長を務められたK氏は、一身上の都合で退団することになったとの由。
ご本人からその「一身上の都合」が説明された。

突発性難聴、というのは、単に音が聞き取りづらくなるだけではなく、音が激しく歪んだり、そのことによって肉体的苦痛がもたらされるというものであるらしい。
治療も困難で、現状では回復の見込みは薄いということだ。
一言で言うなら、合唱団員としては致命的な病である。
日常生活を送る程度はそれほどでもないが、合唱団の只中で歌うのは、もはや無理らしい。

大半の団員(私も含む)が初めてその事実を聞かされ、正直、助成金の話などどこかに吹っ飛んでしまったかのような衝撃を受けてしまったものである。
オーケストラハウスを出る前に、K氏に挨拶をした。しかし、何と声をかけてよいものなのか、自分でも全く整理がついていなかった。ただ、何か言わねば気が済まなかった。

2004 07 11 10:03 PM [Chorus] | 固定リンク

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