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2004.10.26

飛躍の時期

スクリアビンが4番目のソナタを書いてから今年で101年目を迎えるが、この4番と、次の5番(1907年)の間のわずか4年間で、スクリアビンの音楽は大きな飛躍のときを迎えている。

帰宅する電車の中で続けざまにこの2曲を聴いていて、そのあまりの作風の変化に、車内であるにも関わらず「う~ん」とうなってしまった。

1番から3番までのソナタというのは、概ねロマンティックであり、「ロシアのショパン」と言うよりは、「ロシアのリスト」もしくは「チャイコフスキーの後継者」と呼びたくなるような作風である。
それぞれ聴きどころがあるし、悪くないと思うのだが、「プロメテ」であったり、「焔に向かって」を書いた人の作品だと思うと、どうも違和感がある(そういう意味ではピアノ協奏曲もかなり違和感がある。好きだけど)

4番のソナタは、それまでの3つのソナタに比べると、十分に成熟した、大人のスクリアビンを感じさせる作品だが(実際、30代に入って完成したものだが)、それでもまだ彼の個性が十分に発揮されているとは言い難い。
手堅く作っているようでいて、実はまだ構成的にも弱いような気がする。
それは、続けざまに5番を聴くことで、ますます確信めいたものになっていく訳である。

5番の名演・・・と言ってよいのかどうかわからないが、リヒテルのライヴ(ドビュッシィの「版画」などを弾いたのとカップリングされていたように思う)というのが私にとってはデフォルトで、今こうして聴いている(指揮棒で自分の左手を突き刺したという)アシュケナージの演奏には、多少違和感を感じる部分もあるのだが、それでも曲の魅力がそれに勝っている。

いきりたっては鎮まり、再びぬめぬめと昂揚感が沸き起こり、エクスタシーの頂点に近づいたかと思うとまた鎮静し、またぬめぬめと・・・と繰り返されながら、一気にラストのオルガスムスに駆け上がる、という様は、この曲に先立って書かれた有名な「法悦の詩」を髣髴させる。
だが、全体を貫くトーンは、「法悦の詩」よりもずっと洗練されて、エクスタシーの描写もよりイマジネーションをかきたてるものだ。まさに中期スクリアビンの最高傑作と呼んで差し支えないだろう。

このマイリスト(Scriabin Piano Works)は、若干の前後はあるが、概ね彼の作品番号順に並べられている。
ここからがまた面白いのだ(^_^)
黒ミサに白ミサ、そして焔に向かって・・・
今夜はこれを100円耳もとスピーカーで聴きながら寝る。

2004 10 26 02:52 AM [music with iPod] | 固定リンク

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» スクリャービン作曲、交響曲第4番「法悦の詩」 [yurikamomeの徒然日記 から]
 二日酔いだよ。  吐き気と頭痛の中、無事朝出勤。今日は半分仕事にならない。鉛を貼り付けたような脳みそは計算は間違えるし、電話の応対も何を言っているのかわからない。今日は早くなま賞じゃなかった寝ましょう。  写真は鎌倉鶴岡八幡宮段葛の見事な桜のトンネルと昨日のお花見会場。悪友と夜通し飲んでしまった。久々に楽しかったなぁ。  今日はスクリャービン作曲、交響曲第4番「法悦の詩」。鋭角のフォルテシモ、エリアフ・インバル指揮、フランクフルト放送交響楽団。  「法悦」なんて言うから何か難しい話かと思っ... 続きを読む

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