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2004.11.21

大人のための文章教室

普段はあまりしないのだが、一言書評の補足を書いておこうと思う。
というか、ここ1年、見事に書評をサボリきっているのだが(^_^;)

清水義範さんの文章は、「国語入試問題必勝法」時代から断続的に読んできているが、ご本人が文章について考えをまとめたものを読むのは初めてである。
子供向けにはいくつか書かれているそうだが、こうして「大人向け」の「文章教室」というのは、ご本人も初めてものされたそうである。この人のような作風だと、それをやってしまうのは、ある種「手品師のタネ明かし」になってしまう面もあるので、面白いかも知れないが、ホンネの部分ではあまり書きたくなかったのかも知れない。それを敢えて書いてしまった、というところに、どういう力が働いたのかはよくわからない。

それでも、本書の前半は比較的常識の範囲で手堅くまとめている、という印象を受ける。
清水義範が書けば、文章教室だってこんなに意表をついたものになる・・・というのを期待している向きには、かなり拍子抜けするものではないだろうか。
しかし、世間一般の「文章教室」、あるいは「文章読本」的なものと対比させると、そこはやはり独特の「清水ワールド」になっているのである。
「文章読本」系のものがしばしば陥りがちな、「古今の名文カタログ」を用心深く避け、極力文例は新たに自作する、どうしても過去の名文を引用するときは、「普通の人はマネしてはいけない」という形での紹介に留める・・・
これは書かれてみれば当たり前のことであって、普通の人が、歴史に残る美文家、名文家、大作家のマネをしたところで、そんな付け焼刃のようなことがうまくいくはずもない。

ただ、後半でも書かれているが、気に入った文章を書き写すとか、模倣する、というのは、文章の練習には役に立つ、とも書かれている。
思えば、ベートーヴェンだって、若い頃は先人、ハイドンなどの作品をしきりに模写していたというではないか。
模写、模倣がオリジナリティの育成を阻む、なんていうドグマに囚われる必要は何もないのである。

本書を半ばほどまで読み進めていた時点では、「こりゃ星3つぐらいかな」と思っていた私なのだが、最終講を読んで、星の数を一つ増やすことに決めたのであった。
氏の若い頃の話が、妙に自分の体験と重なるのである。
おそらく、過ごしていた時代と場所が少し違うだけで、似たようなことをやっていた人だったんじゃないか、と勝手に想像して、勝手に親近感を覚えてしまった訳だ。そう思われても、ご本人は迷惑かも知れないが。
今さら中学時代に書いていたものを引っ張り出して読んでみたいとは思わないにせよ、あの頃しきりに書いていたパロディっぽい小説もどきが、今の私につながっているのは否定し得ない。また、若い頃に好んで読んでいたものも。

中学時代のものまで引っ張り出す気はないが、大学時代ぐらいまでは遡って読み返してみようか、などと、少し考えている昨今である。

2004 11 21 02:01 PM [Book List] | 固定リンク

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