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2005.11.12

一言書評増強Day

しばらくサボっていた一言書評欄に、「ローマ人の物語」など数冊を登録。
リンクを張る関係で「ローマ人の物語(文庫版)」は1冊ずつの登録となった(以前は分冊のものをまとめて登録していたのだが)

単行本で言うと7巻目と8巻目にあたる「悪名高き皇帝たち」と「危機と克服」
カエサルがこね、アウグストゥスが造形したローマ帝政を引き継いだ皇帝たちの悪戦苦闘ぶりと、脱線転覆ぶりが描かれている。

2代皇帝・ティベリウスはアウグストゥスが造形したものを、忠実に受け継ぎつつ、定着させた。彼が2代目でなければ、もしかしたらローマ帝政は短命に終わっていたかも知れない。だが、当時の人々に人気はなかった、という点で、やや報われない人、という印象を与える。

3代皇帝・カリグラは才気煥発な若者で、その登場に対してローマ市民は快哉をもって迎えた。だが、才能と権力を過信しすぎて暴走してしまった若者は、破滅への短い道程をたどり、はかなく消えていく。ユダヤ問題という重荷を残して。

4代皇帝・クラウディウスは、カリグラの暴走によって破綻した経済と外交、あるいは人々のモラルの立て直しを課せられて引っ張り出された「名門一族の日陰者」である。賢帝とは言えないだろうが、カリグラのやらかしたことの尻拭いという、面白くもないが重要な仕事を黙々とやり続けた人であった。家庭内に問題を抱えて、ではあったが。

5代皇帝にして、ユリウス・クラウディウス朝最後の皇帝となるのがネロである。風采の上がらない老齢のクラウディウスに代わって登場した若者は、セネカという指南役を得て、上々の滑り出しを見せるが、やがて自らを帝位に就けてくれた母親や、皇妃オクタヴィア、さらには師であるセネカをもその手にかける。最後は「国家の敵」との宣告を受け、自死を選ぶことになるネロだが、ある意味、ローマ皇帝の中でも最も後世に名を残した(もちろんそれは「暴君」として、あるいは初期キリスト教弾圧の張本人として、だが)人物かも知れない。

カエサル、そしてアウグストゥスの血統を継ぐローマ皇帝が途絶えてしまったA.D.69年、ローマ帝国はこの混乱を収拾するのではなく、さらに火に油を注ぐかのような状況に見舞われる。そんな中、わずか1年の間に3人の皇帝が現れては殺される(自死する)、という事態が出来するのである。
ガルバ、オトー、ヴィテリウスの3人(あるいは彼らを担いた人々)には、帝国の現状に対する正確な認識もなければ、その先行きに対する明確な意思も感じられない。ただただ時流に乗って権力を奪って、今を謳歌する・・・それしかできぬ人々であった。

ヴェスパシアヌスは抜群の能力を持っていた訳でもなく、由緒ある血脈につながっていた訳でもなかったが、七ちゃん曰く「健全な常識人」として、当時のローマ帝国が求める資質と経験を有した人であった。彼とその息子二人(ティトゥス、ドミティアヌス)によるフラヴィウス朝27年は、ネロと三皇帝乱立によって荒廃した帝国の再建と、さらなる発展(いわゆる「五賢帝時代」)に向けての準備期間として重要なものである。

・・・という具合で、順調に読み進めてきた「ローマ人の物語」であるが、11月に入って「賢帝の世紀」が出るのかと思ったら、そういう訳ではないようである。

そんな訳で、目を1世紀のローマ帝国から、2000年後の日本に向けてみる。
「マークを読む」は期待したほど面白くはないが、実用的にはなかなかのものかも知れない。知っておくとタメになることがかなり盛り込まれている。個人的にはもっとマークのデザイン面に焦点を当てたものにしてほしかった気がするが。

「暗証番号はなぜ4桁なのか?」は一般ピープル向けのセキュリティ啓発書的趣き。これも一読の価値はあるが、決して楽しいものではない(途中のたとえ話は軽妙に描かれてはいるが)。あるいは読んで知的好奇心が喚起されるというものでもない。読んで暗澹たる思いに捕われ、困ったものだと吐息をもらすぐらいのものかとは思う。

現在読んでいるのは「ご臨終メディア」。これは「買い」だろう。個人的には「ナショナリズムの克服」の続編を読むような気分である(「姜尚中+森巣博」と「森達也+森巣博」という組み合わせの相違はあるものの)。Amazonのレビューで、星5つか星1つか、という評価の分かれ具合が、また本書の特質を端的に表しているような気がする。

しかし、読書の秋というのに、今年は少々さびしい内容(分量的に)である。そもそも本屋に行く機会が少なくなっているのが個人的には気になる。

2005 11 12 11:30 PM [Book List] | 固定リンク

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