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2010.03.25

リリ

と言っても、「私は泣いています」ではないし、フルーツの缶詰とも関係ない。
音楽の話を書こうとしているが、リリー・クラウスの出番ではない。

ゆうべ、ふと思い立ってナディア・ブーランジェのことを少し調べていたら、彼女の、24歳で夭逝した妹の話が出てきて、ふ~ん・・・と思いながら読んでいるうちに、突如として興味が湧いてしまったワケなのである。
ナディアはこの6歳年下の妹の才能を信じ、その才能が開花するよう、全面的にサポートするのである。
その妹の名前が「リリ」

ナディアが何度挑んでも、ついに第一等には手が届かなかったローマ賞(1908年には次席)に、妹リリは女性として初の第一等を勝ち得ている。

姉妹の父親、エルネストも、実は1835年にローマ賞で第一等を勝ち得ている。父方の祖父母も音楽家、母親は父の門下生であった訳で、この姉妹に音楽家の血は濃厚に受け継がれていた、と言えば言えるかも知れない。

1893年生まれのリリ・ブーランジェは、生まれつき内臓系の欠陥を抱えていたようで、短命が予告されていたそうである。
しかし、2歳にして早くも音楽の才能を表し、姉が10歳でパリ音楽院に入学したときから(つまり、リリが4歳のときから)姉にくっついて音楽院にもぐり込み、音楽の素養を深めていったという。

実際にリリが音楽院に入学したのはかなり後のことだが、家族がそのまんま音楽院みたいな環境であるのに加えて、そこにふらっとやってくるのがフォーレであったりする訳だから、音楽院に入学した頃には、既に彼女の音楽的な能力はすっかり成熟していたと考えてよいのだろう。
その証拠に、入学してわずか1年ほどで、カンタータ「ファウストとエレーヌ」によりローマ賞を勝ち得ている。姉が次席まで辿り着くのに、音楽院入学から10年の歳月を要したのとは対照的である。

そんな訳で、ふと思い立ったナディアへの興味が、あっと言う間にリリに取って代わり、昨夜は寝る前にiTSでLili Boulangerを検索して、出てきたアルバムから1枚(Marco Poloから出ているもの)を選んでダウンロード、寝る前に聴いて、さらに今日の仕事の行き帰りにも聴いて、瞬く間に虜になった、という、そんな話である(^_^;)

幼い頃に年老いた父親を失い、父親代わりではないけれど、それに近い立場にあったフォーレの影響は疑うべくもないが、それでありながらドビュッシィやラヴェルにも通じる、というより、彼らをも突き抜けたところにあるような、透徹した響きを持った音楽は、何ともユニークである。

中でも、絶筆となった「Pie Jesu」の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。
「Pie Jesu」というと、フォーレやデュリュフレ、あるいはロイド=ウェッバーなどに名作があるけれど、リリ・ブーランジェの「Pie Jesu」は、信じがたいほど図抜けた存在であるように感じる。
死の床で、口述筆記で残された作品である。

その後に収録されている「Lux Aeterna」も秀逸。

リリが24歳で(生後すぐに予告されたように)早世した後、姉ナディアは作曲の筆を折り、指揮や音楽教育の道に進む。

しかし何なんでしょうねぇ・・・
ジュリアン・スクリアビン(11歳で船の転覆事故のため死亡)だとかスタンチンスキー(26歳で謎の溺死)だとかカルウォーヴィチ(32歳でスキー中に雪崩のため遭難死)だとか・・・19世紀末から20世紀初頭にかけて、短い生涯を駆け抜けた作曲家の作品ばかり、最近聴いているような気がする(^_^;)
立原道造の詩につけた作品を歌った後遺症であろうか(^_^;)

斉諧生氏による紹介文

今夜も別のアルバムをダウンロードしてみようかと思っている。
う~ん、タイユフェールのリッピングがまだなのだが・・・(^_^;)

2010 03 25 11:29 PM [music with iPod, 日記・コラム・つぶやき, 音楽] | 固定リンク

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